ぼっちのひとりごと

好きな漫画、映画、ゲームについて語ります

チーズバーガーが食べたくなる映画「ザ・メニュー」

無性に何かを食べたくなる時がある。

例えばラーメン発見伝を読んだらラーメンを食べたくなるように最近見た作品の食べ物が美味しく見えるとそれを口にしたくなる。

今日僕が観てきた「ザ・メニュー」は高級フルコースが出てくる映画である。

しかし全くと言っていいほど高級料理を食べたいとは思わなかった。今作の高級料理は胸糞悪い話や聞いてて気分が悪くなる話にちなんだ料理が出てきており、話の内容も併せて全く美味しそうに見えないためだ。

~あらすじ~

美食家の「タイラー」とそれに連れられてきた彼女の「マーゴ」は高級レストランで超一流シェフの料理を食べようとある孤島に訪れた。そのレストランに集められたのは様々な職種のセレブ達だが彼らにはある秘密があった。レストランのシェフはフルコースを披露していくと共にその秘密を白日の元に晒していくのだった…

序盤は完璧と言える立ち上がりだった。陽気な雰囲気で本編は始まるがところどころに不穏な物やレストランの従業員の言葉・行動が見えるようになり観ているこちらも不安になってきた。

また、そこにいるスタッフ達はシェフに絶対服従しておりまるでカルト宗教の教祖に従う信者のようであった。

そして料理も胸糞の悪い料理ばっか。「貧乏人はパンを食べるが皆さんはセレブなのでパンは出さない」とパンにつけるソースのみの料理や、「私の父は私が子供の頃酔って帰ってきて母親に暴力を振るっていたので父の太ももにハサミを突き立ててやった!」と焼いたモモ肉にハサミを刺した料理を持ってくるなどライン超えのブラックジョークをぶち込んでくる。ちなみにモモ肉にハサミを刺した料理は僕はわりと好き。

こういう「これから何か起こるな…」と思わせる不穏な演出は本当によかった。しかし4品目の展開をピークに陳腐で驚きのないものばかりになってしまった。

また、シェフの動機も「私が出した料理のことを覚えていない」、「せっかくの休日に観に行った映画が最悪だった」等個人的かつ共感性のないものであった。

さらには本作は序盤に張っていた伏線を回収しなかったり伏線自体が弱かったりして話として衝撃な展開や予想を超えるものはなかった。

はっきり言って中盤~ラストまでは特にこれといって目新しいものや驚きがなかった。

しかし終盤のチーズバーガーのところだけ良かった。あれによってシェフは給仕することの喜びを思い出し初めて本当の笑顔を見せていた。

そしてこのバーガーは作中で一番美味しそうだった。溢れる肉汁にほのかに溶けるチーズ。つけあわせのポテト。サイズもアメリカンサイズ。最高だった。

本作のように序盤から中盤にかけては面白いのだがある場所を超えると陳腐で描写不足の作品はまあまああるので今後は気をつけたいと思った。