ぼっちのひとりごと

好きな漫画、映画、ゲームについて語ります

ホラーではなくコメディ映画「“それ”がいる森」

世の中には明らかにマーケティング戦略を間違えている映画がたまにある。

例えば「レミニセンス」という映画があるが、あれはSFものとして大体的に宣伝されていたにも関わらず実際に観てみるとSF要素はおまけレベルのもので実態はラブロマンスであった。SFアクションを期待した僕はガッカリしたことを今でも覚えている。僕はラブロマンスは嫌いだ。

 

今日僕が観てきた映画「“それ”がいる森」もこの類の映画だと思われる。

今作の監督は「女優霊」、「リング」、「仄暗い水の底から」などジャパニーズホラー全盛期を築きあげた名作の監督である。

しかし、現在では雰囲気は良かったが評価はイマイチな「クロユリ団地」、そして近年稀に見るクソ映画である「事故物件 怖い間取り」などの作品を世に輩出しジャパニーズホラーの失墜を認めざるを得ない結果となった。

今作はポスターを見ていただければわかるがおどろおどろしい森に恐ろしい「何か」がおり、それが怪奇現象を引き起こして人々に襲いかかるというホラー色の強い作品として宣伝されていたが蓋を開けてみるとホラーとは程遠いとんでもない作品だった。

~あらすじ~

ある田舎町でオレンジ農家として暮らしていた「田中淳一(演:相葉雅紀)」は母親と喧嘩して家出した息子の「一也(演:上原剣心)」としばらく暮らすことになる。一也は友達と森の中で銀色の巨大物体を見付けその写真を撮るために再び森の中に入るがその途中で得体の知れないものに襲われてしまう。それをきっかけに町では子供の行方不明事件が起こってしまうのだった...

 

ここからネタバレ感想になります。

 

 

 

 

 

 

ホラー映画としては文句なしのクソ映画、映画としてはクソとまでは言わないまでもC級映画にも満たない駄作、コメディ映画としては一級品

正直な話、中田監督は本当にこの作品をホラー映画として作っていたのかが実に疑問である。

近年稀に見るクソ映画としても名高い「事故物件 怖い間取り」ですら序盤のホラー演出は「さすが」と言えるレベルでその後の展開に期待できたが、本作に関してはそのホラー演出すら一切なかった。

それに加え場面と合ってない軽快な音楽、微笑ましい少年達の友情(これが後の展開で悲壮感を生み出すとかは一切ない)、ミスリードという訳でもなく一発でUFOとわかる序盤から登場する銀色の物体、ちゃちなCGのエイリアン(ちなみにこれが笑いの要素)などホラーのホの字も感じない演出のオンパレードだった。これを見て怖がれという方が無理のある話である。

さらに宇宙人の弱点である病気になったオレンジの果汁であるがその理由が「人間の体のことは研究したが植物の研究までしていないためその毒素が弱点となる」という謎設定だった。その発想で行けば森の中なんてありとあらゆる最近や毒がそこら中にあるはずなのでそれこそ防護服でも着ていないと動けないはずなのだが...と疑問に思う設定だった。

さて肝心の宇宙人なのだがそのCGはクオリティは低いくせに本当に面白い。姿は一般的なグレイ型宇宙人をちょっとデカくしたような感じ。その挙動があまりにも機械的というか生き物とは程遠い動きをしていて、特に子供を丸呑みにしてぷるぷる震えながら分裂するシーンや、ぷるぷる震えながら高速移動をするシーンは劇場でマジで笑ってしまった。あんなもんギャグ描写以外のなにものでもない。あれで怖がれというのは本当に無理だ。動作の不自然さは正直宇宙人型ロボットと言われた方が納得できるレベルだ。

ラストの展開も納得いかない。宇宙人達を撤退するところまで追い込み場面は1か月後になる。そこには学校で開かれた球技大会?に参加し笑顔の子供たちと先生、保護者の姿が。

いやいやいやいや!1か月前にはただでさえ少ない子供(この町は2学年を1つの教室に集めて授業するくらいには子供の数が少ない)が何人も行方不明になっており、その捜索にあたっていた警察も全滅、学校のナンバー2である教頭も殺されたにも関わらず「宇宙人は去った。めでたしめでたし。」という終わり方が本当にベストか?

その後警察に保護された淳一親子が死地から生還したことを喜び抱き合って涙を流す。そこに丁度東京から駆けつけてきた母親が現れ2人が無事なことを確認し3人で抱き合う。それによって家族の絆が再生するというような終わり方でよかったとおもうのだが...

 

以上が個人的な感想だ。正直前評判ほど酷くはなかったが作品としては質の低いものでとてもではないが有名監督が作り上げたものとは思えなかった。

今月は「貞子DX」という作品も公開されるが期待せずに観に行こうと思う。同日公開の「ロード・オブ・ザ・リング王の帰還IMAX」は面白いのが確定してるのでそちらは本当に楽しみだ。